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【医療機関・医師向け】都市部の診療所開業に新規制

  • 7月11日
  • 読了時間: 7分


ドクターエージェント 代表金田 「6か月前届出」と保険医療機関の指定期間短縮に注意  2026年4月1日から、医師が特に集中している地域で無床診療所を新規開設する場合、新たな事前届出制度が始まりました。  これまで診療所の開業は、物件の確保、内装工事、医療機器の導入、スタッフ採用、保健所への開設届、保険医療機関の指定申請という流れが一般的でした。  しかし今後、対象地域では開設日の6か月前までに都道府県へ事前届出を行う必要があります。届出内容によっては、夜間・休日診療や在宅医療など、地域で不足している医療機能の提供を要請される可能性もあります。  開業スケジュールだけでなく、診療体制や収益計画にも影響する重要な制度変更です。    対象は「外来医師過多区域」の新規開業  今回の制度の対象となるのは、都道府県が指定する外来医師過多区域で、新たに無床診療所を開設しようとするケースです。  従来から使われてきた「外来医師多数区域」と、新制度における「外来医師過多区域」は、厳密には同じものではありません。  外来医師過多区域は、外来医師偏在指標が特に高く、診療所数なども考慮したうえで、都道府県が指定します。地域によっては二次医療圏全体ではなく、医師や診療所が集中する市区町村、あるいは地区単位で指定される可能性があります。  したがって、「東京や横浜、大阪などの都市部であれば、すべての診療所が対象になる」という制度ではありません。  開業候補地が対象区域に該当するかどうかを、物件契約前の段階から都道府県に確認することが重要です。    開業6か月前までに事前届出が必要  対象区域で無床診療所を新規開設する場合、原則として開設日の6か月前までに、都道府県知事へ事前届出を提出しなければなりません。  届出では、主に次のような事項を示すことになります。      診療所の開設予定日、所在地    診療科や診療内容    提供する予定の医療機能    地域で不足している医療への対応意向    地域外来医療の提供に関する意向  従来の医療法上の開設届は、診療所を開設した後、原則10日以内に提出する手続です。  今回新設された事前届出は、それとは別の手続であり、「開設後10日以内の届出」と「開設6か月前の届出」の両方が必要になる場合があります。    要請される可能性がある医療機能  事前届出の内容を踏まえ、都道府県は新規開業予定者に対して、地域の外来医療に関する協議の場への参加を求めることができます。  さらに、地域で不足している医療機能の提供を要請する場合があります。  具体例として、厚生労働省の資料では次のような機能が挙げられています。    夜間・休日の初期救急医療  平日の昼間だけではなく、夜間や休日に発生する比較的軽症の救急患者を受け入れる体制です。  休日急患診療所への出務や、地域の輪番制への参加などが想定されます。

「6か月前届出」と保険医療機関の指定期間短縮に注意

2026年4月1日から、医師が特に集中している地域で無床診療所を新規開設する場合、新たな事前届出制度が始まりました。

これまで診療所の開業は、物件の確保、内装工事、医療機器の導入、スタッフ採用、保健所への開設届、保険医療機関の指定申請という流れが一般的でした。

しかし今後、対象地域では開設日の6か月前までに都道府県へ事前届出を行う必要があります。届出内容によっては、夜間・休日診療や在宅医療など、地域で不足している医療機能の提供を要請される可能性もあります。

開業スケジュールだけでなく、診療体制や収益計画にも影響する重要な制度変更です。


対象は「外来医師過多区域」の新規開業

今回の制度の対象となるのは、都道府県が指定する外来医師過多区域で、新たに無床診療所を開設しようとするケースです。

従来から使われてきた「外来医師多数区域」と、新制度における「外来医師過多区域」は、厳密には同じものではありません。

外来医師過多区域は、外来医師偏在指標が特に高く、診療所数なども考慮したうえで、都道府県が指定します。地域によっては二次医療圏全体ではなく、医師や診療所が集中する市区町村、あるいは地区単位で指定される可能性があります。

したがって、「東京や横浜、大阪などの都市部であれば、すべての診療所が対象になる」という制度ではありません。

開業候補地が対象区域に該当するかどうかを、物件契約前の段階から都道府県に確認することが重要です。


開業6か月前までに事前届出が必要

対象区域で無床診療所を新規開設する場合、原則として開設日の6か月前までに、都道府県知事へ事前届出を提出しなければなりません。

届出では、主に次のような事項を示すことになります。

  • 診療所の開設予定日、所在地

  • 診療科や診療内容

  • 提供する予定の医療機能

  • 地域で不足している医療への対応意向

  • 地域外来医療の提供に関する意向

従来の医療法上の開設届は、診療所を開設した後、原則10日以内に提出する手続です。

今回新設された事前届出は、それとは別の手続であり、「開設後10日以内の届出」と「開設6か月前の届出」の両方が必要になる場合があります


要請される可能性がある医療機能

事前届出の内容を踏まえ、都道府県は新規開業予定者に対して、地域の外来医療に関する協議の場への参加を求めることができます。

さらに、地域で不足している医療機能の提供を要請する場合があります。

具体例として、厚生労働省の資料では次のような機能が挙げられています。


夜間・休日の初期救急医療

平日の昼間だけではなく、夜間や休日に発生する比較的軽症の救急患者を受け入れる体制です。

休日急患診療所への出務や、地域の輪番制への参加などが想定されます。


在宅医療

通院が難しい高齢者や療養患者の自宅、施設などを訪問して診療を行う機能です。

訪問診療だけでなく、地域の訪問看護ステーションや介護事業所との連携が必要になる場合もあります。


公衆衛生に関する医療

予防接種、健康診断、学校医、産業医活動など、地域住民の健康を支える機能が含まれます。


医師不足地域への協力

医師が不足している地域で、土日などに代替医師として診療に従事することなども想定されています。

ただし、どの医療機能が要請されるかは全国一律ではありません。各都道府県が地域の医療事情を踏まえて内容を定め、事前に公表する仕組みです。


要請に応じられない場合はどうなるのか

地域で不足する医療機能を提供しない意向を示した場合、直ちに診療所を開設できなくなるわけではありません。

まず、都道府県から地域の協議の場への参加を求められ、対応できない理由や、診療所で提供する予定の医療内容について説明することになります。

説明を踏まえても、対応しない理由がやむを得ないものと認められない場合、都道府県知事は期限を定めて、地域外来医療を提供するよう要請できます。

それでも対応しない場合には、次のような手続に進む可能性があります。

  1. 都道府県医療審議会での説明

  2. 都道府県知事による勧告

  3. 厚生労働大臣への通知

  4. 勧告内容などの公表

  5. 保険医療機関の指定期間の短縮

医師が一人しかおらず、病気や育児、介護などの事情で夜間・休日対応ができない場合や、学校医の就任について関係機関と調整中である場合などは、「やむを得ない理由」として個別に判断される可能性があります。


保険医療機関の指定期間が「6年」から「3年以内」へ

通常、保険医療機関の指定期間は6年間です。

しかし、都道府県からの要請や勧告に従わず、地域で不足する医療機能を提供していないと判断された場合には、保険医療機関の指定期間が通常の6年ではなく、3年以内に短縮される可能性があります

指定期間が短くなれば、より早い時期に更新審査を受けなければなりません。

保険医療機関の指定が直ちに取り消されるという意味ではありませんが、開業後の経営安定性や金融機関からの評価、将来の事業承継などを考えると、軽視できないリスクです。

また、必要な事前届出などを行わずに保険医療機関の指定申請をした場合、医療法上の手続が完了するまで、保険医療機関としての指定を受けられない可能性があります。開業日から保険診療を開始できなければ、当初の収支計画が大きく崩れる恐れがあります。


開業計画に与える5つの影響

1.物件を決める前の区域確認が必要

対象区域であることを知らずにテナント契約を締結すると、想定していた開業日に間に合わなくなる可能性があります。

「物件を決めてから行政に相談する」のではなく、候補地が決まった段階で都道府県へ確認する必要があります。


2.開業準備期間が長期化する

対象区域では、少なくとも6か月前の届出が必要です。

物件交渉、融資、設計、内装工事、スタッフ採用と並行して行政手続を進める必要があり、従来以上に早い準備が求められます。


3.診療時間や人員配置に影響する

夜間・休日診療や在宅医療への対応を計画に組み込む場合、医師だけでなく看護師、医療事務、訪問診療車両などの体制も検討しなければなりません。


4.事業収支が変わる

地域医療への協力には人件費や当直費、移動費などが発生する可能性があります。

一方で、在宅医療や予防接種などを診療所の機能として適切に組み込むことで、地域の需要に合った新たな診療モデルを構築できる場合もあります。


5.開業場所の選定基準が変わる

駅前や人口密集地域など、患者数を見込める場所だけを基準に物件を選ぶのでは不十分です。

今後は、区域指定の有無、地域で不足する診療科・医療機能、周辺医療機関との役割分担まで確認したうえで、開業場所を判断する必要があります。


新規開業を検討する医師が確認すべきこと

開業候補地が決まったら、少なくとも次の点を確認しましょう。

  • 外来医師過多区域に指定されているか

  • 要請対象となる地域外来医療の内容

  • 事前届出の提出先と様式

  • 開設予定日の6か月前に間に合うか

  • 夜間・休日診療や在宅医療への対応可否

  • 対応が難しい場合に説明できる具体的理由

  • 保険医療機関の指定申請とのスケジュール

  • 都道府県、保健所、厚生局との手続の順序

対象区域や要請内容は都道府県ごとに異なるため、厚生労働省の資料だけでなく、開業予定地を管轄する都道府県の最新情報を確認する必要があります。


まとめ|開業規制は「行政手続」ではなく経営課題

今回の制度変更は、単に届出書類が一つ増えたという話ではありません。

届出時期を誤れば開業が遅れ、地域医療への対応内容によっては、診療時間、人員配置、採用計画、収益構造まで変更する必要があります。

さらに、要請や勧告への対応状況によっては、保険医療機関の指定期間が通常の6年から3年以内に短縮される可能性があります。

新規開業を検討する医師や医療法人は、物件契約を先行させず、早い段階から次の三者と相談を進めることが重要です。

都道府県・保健所などの行政機関、医療開業に詳しい専門家、地域医療の実情を把握した開業支援会社。

これからの診療所開業では、「どこで開業するか」だけでなく、その地域でどのような医療機能を担うのかまで含めた事業計画が求められます。

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