【2026年6月改定 微生物核酸同定・定量検査とは?クラミジア・淋菌・HPV・新型コロナなどの検査点数を解説
- 8月4日
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感染症の診断では、原因となるウイルスや細菌を正確に特定することが重要です。
そのために行われる検査の一つが、微生物核酸同定・定量検査です。
この検査では、ウイルスや細菌が持つDNAやRNAなどの「核酸」を調べ、感染の有無や病原体の種類、体内に存在するウイルス量、薬剤耐性に関係する遺伝子などを確認します。
クラミジア、淋菌、HPV、インフルエンザ、新型コロナウイルス、肝炎ウイルス、結核菌など、幅広い感染症の診断や治療方針の決定に使用されています。
微生物核酸同定・定量検査で分かること
微生物核酸同定・定量検査には、大きく分けて次のような役割があります。
感染しているかを調べる
クラミジア、淋菌、インフルエンザ、新型コロナウイルスなど、特定の病原体の核酸が検体に含まれているかを調べます。
ウイルス量を測定する
HBV、HCV、HIV、サイトメガロウイルスなどについて、体内にどの程度のウイルスが存在するかを測定します。
治療開始の判断や、治療効果の確認に使用されることがあります。
薬剤耐性を調べる
抗菌薬や抗ウイルス薬が効きにくくなる遺伝子変異を調べ、適切な治療薬を選ぶための参考にします。
複数の病原体を同時に調べる
呼吸器感染症や髄膜炎などでは、症状だけで原因となる病原体を判断することが難しい場合があります。
多項目同時検査では、一度の検査で複数のウイルスや細菌をまとめて調べることができます。
主な検査項目と診療報酬点数
2026年度の主な微生物核酸同定・定量検査の点数は、次のとおりです。
番号 | 検査項目 | 点数 |
1 | クラミジア・トラコマチス核酸検出 | 188点 |
2 | 淋菌核酸検出 | 198点 |
3 | A群β溶血連鎖球菌核酸検出 | 204点 |
4 | HBV核酸定量 | 256点 |
5 | 淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出 | 262点 |
6 | マイコプラズマ核酸検出、インフルエンザ核酸検出、RSウイルス核酸検出 | 291点 |
7 | レジオネラ核酸検出 | 296点 |
8 | EBウイルス核酸定量 | 310点 |
9 | HCV核酸検出 | 330点 |
10 | HPV核酸検出 | 347点 |
11 | HPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定) | 347点 |
12 | 膣トリコモナス及びマイコプラズマ・ジェニタリウム核酸同時検出、マイコプラズマ・ジェニタリウム核酸及びマクロライド耐性変異同時検出 | 350点 |
13 | 百日咳菌核酸検出、肺炎クラミジア核酸検出、百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出、ヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出 | 360点 |
14 | 抗酸菌核酸同定、結核菌群核酸検出 | 410点 |
15 | HCV核酸定量 | 412点 |
16 | マイコバクテリウム・アビウム及びイントラセルラー(MAC)核酸検出 | 421点 |
17 | HBV核酸プレコア変異及びコアプロモーター変異検出、ブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子検出、SARSコロナウイルス核酸検出、HTLV-1核酸検出、単純疱疹ウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス核酸定量、サイトメガロウイルス核酸定量 | 450点 |
18 | HIV-1核酸定量 | 520点 |
19 | SARS-CoV-2核酸検出 | 650点 |
20 | SARS-CoV-2・インフルエンザ核酸同時検出、SARS-CoV-2・RSウイルス核酸同時検出、SARS-CoV-2・インフルエンザ・RSウイルス核酸同時検出、エムポックスウイルス核酸検出 | 700点 |
21 | サイトメガロウイルス核酸検出 | 777点 |
22 | 結核菌群リファンピシン耐性遺伝子検出、結核菌群ピラジナミド耐性遺伝子検出、結核菌群イソニアジド耐性遺伝子検出 | 850点 |
23 | 結核菌群リファンピシン耐性遺伝子及びイソニアジド耐性遺伝子同時検出 | 963点 |
24 | ウイルス・細菌核酸及び薬剤耐性遺伝子多項目同時検出 | 1,273点 |
25-イ | ウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARS-CoV-2核酸検出を含むもの) | 1,350点 |
25-ロ | ウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARS-CoV-2核酸検出を含まないもの) | 963点 |
26 | 細菌核酸・薬剤耐性遺伝子同時検出、ウイルス・細菌核酸多項目同時検出(髄液) | 1,700点 |
27 | HPVジェノタイプ判定 | 2,000点 |
28 | HIVジェノタイプ薬剤耐性 | 6,000点 |
診療報酬は原則として1点=10円で計算されます。ただし、表に記載した金額が、そのまま患者さんの窓口支払額になるわけではありません。
患者さんの負担額はどのくらい?
例えば、クラミジア・トラコマチス核酸検出は188点です。
検査料部分の医療費は、
188点×10円=1,880円
となります。
健康保険の自己負担割合が3割の場合、検査料部分の窓口負担の目安は、
1,880円×3割=約560円
です。
同様に、淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出は262点のため、検査料部分の医療費は2,620円、3割負担の場合は約790円が目安となります。
ただし、実際の会計には次の費用が加わることがあります。
初診料または再診料
検体採取料
検体検査判断料
処方料や薬剤料
その他の診察・検査費用
そのため、窓口で支払う総額は、検査点数だけで計算した金額とは異なります。
クラミジアと淋菌は同時検査ができる
クラミジア感染症と淋菌感染症は、症状が似ていることがあり、同時に感染しているケースもあります。
そのため、医師が必要と判断した場合には、淋菌とクラミジアを一度に調べる「淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出」が行われます。
主な検体には、尿、膣分泌物、子宮頸管分泌物、咽頭ぬぐい液などがあります。どの検体を使用するかは、症状や感染が疑われる部位によって異なります。
性感染症は、症状がほとんどないまま進行する場合もあります。心当たりがある場合や、排尿時の痛み、尿道からの分泌物、下腹部痛、性器の違和感などがある場合には、早めに医療機関へ相談しましょう。
HPV核酸検出には算定条件があります
HPV核酸検出とHPV核酸検出の簡易ジェノタイプ判定は、希望すれば誰でも保険診療で受けられる検査ではありません。
保険診療として算定するためには、施設基準を満たして届け出ている医療機関で、原則として次のような患者さんに実施する必要があります。
子宮頸部の細胞診で、ベセスダ分類の「ASC-US」と判定された患者さん
過去に子宮頸部切除術などの対象となる治療を受けた患者さん
検診目的や、保険適用の条件に該当しない場合は、自費診療になる可能性があります。
多項目同時検査にも施設基準があります
次の検査などは、高度な検査体制や適切な診療体制が求められるため、施設基準を満たして地方厚生局長等へ届け出た医療機関でなければ算定できない場合があります。
ウイルス・細菌核酸及び薬剤耐性遺伝子多項目同時検出
ウイルス・細菌核酸多項目同時検出
ウイルス・細菌核酸多項目同時検出(髄液)
細菌核酸・薬剤耐性遺伝子同時検出
また、検査ごとに対象となる症状や疾患、実施回数などの算定条件が定められています。
検査点数が高いほど重い病気という意味ではありません
診療報酬点数は、単純に病気の重症度を表すものではありません。
検査に必要な試薬、検査機器、専門的な技術、検査工程、同時に調べられる病原体の数などを踏まえて設定されています。
そのため、点数が高い検査だから重症、点数が低い検査だから軽症ということではありません。
まとめ
微生物核酸同定・定量検査は、ウイルスや細菌のDNA・RNAなどを調べ、感染症の診断や治療方針の決定に役立てる検査です。
クラミジアや淋菌などの性感染症から、インフルエンザ、新型コロナウイルス、肝炎ウイルス、結核菌、HIVまで、幅広い病原体が検査対象となっています。
ただし、保険適用の可否や検査の必要性は、症状、診察結果、過去の治療歴、検査を行う医療機関の施設基準などによって異なります。
感染症が心配な場合には、自己判断で検査項目を選ぶのではなく、症状や感染機会について医師へ相談し、必要な検査を受けることが大切です。
※本記事の点数は2026年度の診療報酬点数をもとに作成しています。診療報酬や算定条件は改定される場合があります。※掲載している負担額は検査料のみを単純計算した目安です。実際の窓口負担には初診料、再診料、検体採取料、判断料などが加わる場合があります。※検査の保険適用には、症状や診断、実施回数、施設基準などの条件があります。
