【クリニック経営者は要注意】利用した覚えのない請求・架空請求への対処法|ホームページ・看板費用を装うケースも
- 3 日前
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「契約した覚えのない請求書が届いた」「ホームページの更新費用を今日中に支払うよう電話があった」「院長が申し込んだと言われたが、詳しい内容が分からない」
このような利用した覚えのない請求、いわゆる架空請求が後を絶ちません。
架空請求は、ハガキや封書だけでなく、メール、SMS、電話、請求書など、さまざまな方法で届きます。
「未納料金がある」「支払わなければ裁判になる」などと不安をあおり、銀行振込や電子マネーなどで支払わせるのが典型的な手口です。
国民生活センターも、覚えのない請求については、すぐに支払ったり相手に連絡したりしないよう注意を呼びかけています。
特にクリニックが注意したい理由
小規模なクリニックでは、院長が診療だけでなく、経営、採用、広告、ホームページ、看板、医療機器、各種契約まで一人で管理していることがあります。
また、専任の経理担当者がいない場合には、受付スタッフや事務スタッフが、届いた請求書の内容を十分確認できないまま処理してしまう可能性があります。
クリニックでは、次のような費用が日常的に発生します。
ホームページの制作・保守・更新費用
SEO・MEO対策費用
看板の制作・修理・掲載費用
医療情報サイトや求人サイトの掲載料
サーバー・ドメインの更新費用
電話、複合機、予約システムなどの保守費用
医療機器や院内設備の点検費用
このように支払項目が多いため、請求書にもっともらしい会社名やサービス名が書かれていると、「院長が以前契約したものだろう」「継続契約なのだろう」と思い込み、支払ってしまう危険があります。
クリニックを狙う架空請求の典型例
「ホームページの更新費用です」
「以前から契約しているホームページの更新料です」「サーバーの契約期限が切れます」などと説明し、実際には契約していない費用を請求します。
本物の制作会社や管理会社に似た会社名を使うケースもあるため、請求書の見た目だけで判断してはいけません。
「院長先生から了承を得ています」
受付スタッフに対し、
「先日、院長先生とお話ししています」「院長先生から請求書を送るよう言われています」
などと説明し、院長への確認をさせずに支払わせようとします。
実際には、院長と一度も話していない可能性があります。
「今日支払わないと掲載停止・契約違反になります」
「本日中に支払わないとホームページを停止する」「求人広告を削除する」「違約金が発生する」など、期限を強調して冷静に確認する時間を与えない手口です。
消費者庁や警察庁も、「支払わなければ裁判になる」「法的措置を取る」などと不安をあおる架空料金請求に注意を呼びかけています。
「訴訟最終告知」「差し押さえ」と書かれている
請求書やハガキに、
訴訟最終告知
強制執行
給与・預金・不動産の差し押さえ
信用情報機関への登録
法的措置への移行
などと書かれていることがあります。
このような言葉は、受け取った人を慌てさせ、記載された電話番号へ連絡させるために使われます。
書面に書かれている番号へ、すぐに電話してはいけません。
覚えのない請求が届いたときの対処法
1.すぐに支払わない
請求書に期限が書かれていても、契約の存在が確認できるまでは支払わないでください。
「今日中」「至急」「最終期限」と書かれていても、まず確認することが重要です。
2.請求書に記載された連絡先へ電話しない
架空請求では、電話をかけたことで、相手に「この電話番号は現在使われている」「支払う可能性がある」と知られてしまいます。
氏名、携帯電話番号、生年月日、院長の個人情報、口座情報などを追加で伝えてはいけません。国民生活センターも、不審なSMS、メール、ハガキに記載された番号には連絡しないよう案内しています。
3.契約書や過去の支払履歴を確認する
次の資料を確認しましょう。
契約書、申込書、発注書
過去の請求書
銀行口座やクレジットカードの支払履歴
メールのやり取り
ホームページや看板を依頼した業者の一覧
契約期間と自動更新の有無
契約書や発注記録が見つからない場合は、支払いを一旦停止し、院長や担当者に確認します。
4.取引業者へは、以前から把握している連絡先から確認する
請求書に書かれた電話番号ではなく、過去の契約書、名刺、公式ホームページなどで確認した連絡先から業者へ問い合わせます。
振込先口座が突然変更されている場合も、メールだけで信用せず、従来の担当者へ電話で確認してください。
5.請求書やメールを証拠として保管する
次のものは削除・廃棄せずに保管します。
請求書、封書、ハガキ
メールやSMS
着信履歴
相手の電話番号
振込先口座
電話で話した内容のメモ
振込明細やカード利用明細
相手とのやり取りを時系列で記録しておくと、警察や専門家へ相談するときに役立ちます。
裁判所からの書類と思われる場合は放置しない
通常の架空請求は相手に連絡せず無視することが基本ですが、本当に裁判所から届いた支払督促や訴状である場合は、放置してはいけません。
裁判所によると、支払督促や少額訴訟の手続が架空請求に悪用される場合があり、裁判所から届いた書類を放置すると、請求どおりの判決や強制執行につながるおそれがあります。
書面に記載された番号だけを信用せず、裁判所の公式情報から管轄裁判所の連絡先を確認し、直接問い合わせてください。判断が難しい場合は、弁護士へ早めに相談しましょう。
警察へ相談・届け出をする
次のような場合は、警察へ相談してください。
すでに代金を振り込んでしまった
クレジットカード番号や口座情報を伝えた
電子マネーの番号を教えてしまった
相手から繰り返し脅されている
クリニックや院長の個人情報を伝えてしまった
偽造された請求書や契約書が届いた
「訪問する」「差し押さえる」などと脅された
緊急性がある場合は110番、緊急ではない相談は**警察相談専用電話「#9110」**を利用できます。警察庁も、架空料金請求詐欺について、不安を感じた場合は#9110などへ相談するよう案内しています。
銀行振込をしてしまった場合は、警察への相談と同時に、振込先の金融機関や自院の金融機関へ至急連絡してください。国民生活センターも、未納料金詐欺で振り込んだ場合には、速やかに警察と振込先金融機関へ相談するよう案内しています。
個人として受けた請求は「188」へ
個人の携帯電話や自宅に架空請求が届いた場合は、消費者ホットライン**「188(いやや)」**に電話すると、最寄りの消費生活相談窓口につながります。
一方、クリニックのホームページ費用や看板費用など、事業のための契約・請求は事業者間の問題となるため、消費生活相談の対象にならないことがあります。消費者契約法上も、個人が事業のために契約する場合は「消費者」から除かれます。
クリニックや医療法人への請求については、警察、弁護士、顧問税理士、取引金融機関などに相談することが大切です。国民生活センターも、事業者については事業者向けの法律相談窓口などを利用するよう案内しています。
クリニックで実施したい架空請求対策
契約先一覧を作成する
ホームページ、看板、広告、求人、医療機器、システムなどについて、次の情報を一覧にします。
管理項目 | 記載内容 |
業者名 | 正式な会社名 |
契約内容 | ホームページ保守、看板管理など |
担当者 | 業者側と院内側の担当者 |
契約金額 | 月額・年額・一括費用 |
契約期間 | 開始日・終了日 |
更新条件 | 自動更新の有無 |
正式な振込先 | 金融機関・口座名義 |
連絡先 | 確認済みの電話番号・メール |
新規業者への支払いは二人で確認する
初めて見る業者や、振込先が変更された請求については、院長と事務責任者など、二人以上で確認する仕組みが有効です。
「当日中の支払い」は原則禁止する
相手から急かされても、その日のうちに支払わないルールを院内で決めておきます。
受付スタッフへ対応方法を共有する
不審な電話がかかってきた場合は、次のように対応します。
「契約内容を院内で確認しますので、会社名、担当者名、契約日、契約内容を書面でお送りください。当院から必要に応じてご連絡します」
その場で院長の携帯電話番号やメールアドレスを教えたり、支払いを約束したりしてはいけません。
まとめ
利用した覚えのない請求が届いたときは、次の4点を徹底してください。
連絡しない・支払わない・個人情報を伝えない・証拠を残す。
特にクリニックでは、院長しか契約内容を把握していない、専任の経理担当者がいない、ホームページや看板などの費用が複数ある、といった状況が架空請求を見抜きにくくする可能性があります。
「院長が申し込んだと言われた」「以前からの契約だと言われた」という説明だけで支払わず、必ず契約書や過去の履歴を確認しましょう。
少しでも不審に感じたら、一人で判断せず、警察、弁護士、税理士、金融機関などへ早めに相談することが、被害防止につながります。
この記事を解説した専門家
株式会社ドクターエージェント
代表取締役 金田 一成
医療機関の開業支援、経営コンサルティング、医療モール開発、医療DX、ホームページ制作・運用、人材採用支援など、医療機関の経営に関わる幅広い業務に携わっています。
クリニックでは、院長が診療と経営を兼務し、ホームページ、看板、広告、求人、医療機器などの契約内容を一人で管理しているケースも少なくありません。専任の経理担当者がいない医療機関では、契約状況を十分に確認できないまま、不審な請求書を支払ってしまう可能性があります。
本記事では、医療機関の運営支援を通じて得た実務経験をもとに、クリニックを狙った架空請求の特徴、不審な請求書が届いた際の確認方法、院内で取り組むべき予防策について、経営者の視点から分かりやすく解説しています。
金田一成からのアドバイス「院長が了承している」「以前からの契約である」と言われても、その場で支払いを判断してはいけません。契約書、発注記録、過去の請求履歴を確認し、少しでも不審な点があれば、警察、弁護士、税理士、金融機関などへ早めに相談することが大切です。
主な対応分野医療機関の開業・経営支援/医療モール開発/医療DX/ホームページ・SEO・MEO運用/医療人材支援/医療機関・介護施設の事業承継
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律判断を行うものではありません。実際の請求や契約に関するトラブルについては、弁護士や警察などの専門機関へご相談ください。
