【令和8年度診療報酬改定】電子的診療情報連携体制整備加算は区分変更のたびに届出が必要?疑義解釈その12をわかりやすく解説

令和8年度診療報酬改定に関する「疑義解釈資料の送付について(その12)」で、電子的診療情報連携体制整備加算について、医療機関が注意すべき重要な取扱いが示されました。
今回のポイントは非常にシンプルです。
電子的診療情報連携体制整備加算2または3を届け出ている医療機関が、加算1または2を新たに算定したい場合は、改めて施設基準の届出が必要です。
一方で、
現在の届出をいったん「辞退」する手続きまでは必要ありません。
つまり、「辞退届は不要。しかし新しい区分の届出は必要」という整理です。
今回の疑義解釈は何を確認している?
厚生労働省への質問は、
電子的診療情報連携体制整備加算2または3をすでに届け出ている医療機関が、
加算1を算定したい
加算2へ変更したい
といった場合に、
もう一度、施設基準の届出を行わなければならないのか
という内容です。
これに対する厚生労働省の回答は、
「辞退の届出は不要だが、改めて届出を行う必要がある」
というものでした。
つまりどういうこと?
例えば現在、
電子的診療情報連携体制整備加算3
を届け出ている医療機関があるとします。
その後、院内の体制を整備して、
加算2を算定できる要件を満たした
としても、
自動的に「今日から加算2を算定します」とはできません。
必要な施設基準を満たしたうえで、
改めて加算2として届出を行う必要があります。
同じように、
加算2を届け出ている医療機関が加算1を算定したい場合についても、新たな届出が必要です。
「辞退届」は出さなくていい
ここは事務担当者にとって重要です。
通常、施設基準を変更する場合、
「現在の届出を一度辞退してから、新しい届出をするのでは?」
と考えることがあります。
しかし今回の疑義解釈では、現在の区分について辞退届を提出する必要はないことが明確になりました。
つまり、
加算3↓加算2
あるいは
加算2↓加算1
へ変更する場合、
旧区分の辞退届+新規届出
という二段階の手続きではなく、
新しい区分について改めて届出を行う
という対応でよいことになります。
一番注意したいのは「要件を満たした日=算定開始日」ではないこと
今回の疑義解釈から、医療機関が特に注意したいのがここです。
院内の電子的診療情報連携体制が整い、
「これで上位の加算を算定できる」
と思っても、
施設基準の届出をしていなければ、そのまま上位区分を算定できるとは限りません。
そのため、
システム導入
↓
必要な体制を整備
↓
施設基準を確認
↓
地方厚生局等へ届出
↓
算定開始
という流れを院内で管理することが重要になります。
医療DXでは「システム導入」と「診療報酬の届出」を別に考える必要がある
今回の疑義解釈は、医療DX関連の加算で起こりやすいミスを象徴しているともいえます。
電子カルテや情報連携システムなどを導入すると、
「システムが使えるようになったのだから、加算も算定できる」
と考えてしまいがちです。
しかし診療報酬では、
設備やシステムが整ったこと
と、
施設基準として正式に届け出ていること
は別の話です。
要件を満たしただけではなく、
届出まで完了して初めて算定できる
という意識が重要です。
医療機関の実務ではどう対応すればいい?
電子的診療情報連携体制整備加算を算定している医療機関では、少なくとも次の点を確認しておくとよいでしょう。
現在届け出ている区分を確認する
まず、
加算1・加算2・加算3のうち、
現在どの区分を届け出ているのか
を院内で把握しておく必要があります。
システム変更時に施設基準を再確認する
電子的な診療情報連携の仕組みを変更・追加した場合には、
単なるシステム更新として終わらせず、
診療報酬上の区分が変わらないか
まで確認することが重要です。
上位区分を算定する場合は必ず届出を確認する
現在より上位の加算要件を満たした場合でも、
自動的に算定区分が変更されるわけではありません。
必ず新しい区分の届出が必要です。
ドクターエージェントの考察
今回の疑義解釈は一見すると非常に細かな事務手続きですが、今後の医療DX加算を考えるうえでは重要な内容です。
特に注意したいのは、
「設備を整えたこと」と「算定できること」は同じではないことです。
令和8年度診療報酬改定では、電子的な診療情報連携や医療DXに関連する評価がさらに細分化されています。
そのため今後は、
「システムを導入したから終わり」ではなく、システム導入後にどの施設基準を満たしたのかどの加算区分を届け出る必要があるのか
までセットで管理することが重要になります。
特に複数のクリニックや医療法人を運営している場合には、施設ごとに、
現在の届出区分
要件充足状況
届出日
算定開始日
を一覧管理しておくと、算定漏れや誤算定を防ぎやすくなります。
まとめ
今回の疑義解釈その12では、電子的診療情報連携体制整備加算について重要な取扱いが示されました。
ポイントは次のとおりです。
① 加算2・3から加算1・2へ変更する場合、新たな届出が必要
② 現在の区分について辞退届を提出する必要はない
③ 要件を満たしただけで、自動的に上位区分を算定できるわけではない
④ 医療DXシステムの整備と施設基準の届出は別々に管理する必要がある
つまり一言でいえば、
「辞退届は不要。でも区分を変えるなら届出は必要」
ということです。
医療DX関連の診療報酬は今後さらに複雑になる可能性があります。
医療機関としては、新しいシステムや情報連携体制を導入した際には、設備面だけではなく、診療報酬上の届出まで確認することが重要です。
