病院の薬でも「一部保険外」に?OTC類似薬の新制度をわかりやすく解説

「病院で医師から処方された薬なら、全部が健康保険の対象になる」
これまで、多くの方がそう考えてきたと思います。
しかし、今回示されている制度では、市販薬と代替性が特に高い一部の医療用医薬品について、薬剤費の一部を保険給付から外す「一部保険外療養」という仕組みが導入される方向です。
今回の資料で特に重要なのは、
対象となるOTC類似薬の薬剤費の「4分の1」を別途負担とし、それを除いた部分を保険外併用療養費の支給対象とする
という点です。
難しく見えますが、仕組みを順番に見ていけばそれほど複雑ではありません。
そもそも「OTC類似薬」とは?
OTCとは、薬局やドラッグストアなどで購入できる市販薬のことです。
今回の資料では、一部保険外療養の対象として、
「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品」
を位置付けるとしています。
簡単に言えば、
「市販薬でも似た成分・目的の薬が入手できる医療用医薬品」
の一部について、これまでとは保険の扱いを変えるという考え方です。
ただし、すべての処方薬や、すべての市販薬に似た薬が自動的に対象になるという意味ではありません。対象となる医薬品は、制度上定められたものになります。
一番大きな変更は「薬剤費の4分の1」
今回の資料で最も注目したいのがここです。
対象となるOTC類似薬について、
薬剤費の4分の1を「別途の負担」とする
仕組みが示されています。
つまり、対象薬の薬価を100とすると、
25%相当を保険とは別に負担し、残り75%相当について通常の保険給付の仕組みを適用する
という考え方です。
例えば薬価が1,000円なら?
制度を理解するため、税などを考慮しない単純な例で考えてみます。
薬価1,000円の対象薬なら、
1,000円 × 25% = 250円
が「別途の負担」に相当します。
残る750円については通常の保険給付の対象として計算します。
仮に通常の自己負担が3割の患者さんであれば、
750円 × 30% = 225円
となるため、
250円+225円=475円
という計算になります。
つまり、「薬代の25%を払えば終わり」という意味ではありません。
25%の別途負担+残り75%に対する通常の自己負担
という仕組みになるのがポイントです。
「全部自費」になるわけではない
ここは非常に大切です。
今回の制度は、対象薬を健康保険から完全に外して100%自費にする制度ではありません。
「一部保険外療養」という仕組みを使い、保険診療の部分を残しながら、薬剤費の一部だけを別途患者さんに負担してもらう形になります。
そのため、
保険診療+一部保険外負担
という新しい形になるわけです。
処方箋も変わります
今回の資料では、制度開始に伴い処方箋の様式も変更するとしています。
新たに、
「一部保険外療養」という欄を追加します。
医師が対象薬を処方する際には、
特別の料金の対象である場合は「○」
別途負担の対象外である場合は「-」
を処方箋に記載する仕組みです。
つまり薬局側は、処方箋を見ることで、
「この薬は別途負担の対象なのか」
を確認できるようになります。
患者さんからすると小さな処方箋の変更に見えますが、医療機関・薬局にとってはかなり重要な変更です。
病院・クリニック・薬局には「掲示義務」
今回の制度では、もう一つ大きな変更があります。
これまで評価療養・患者申出療養・選定療養などでは、内容や費用について院内掲示やウェブサイトへの掲載が求められていました。
今回の「一部保険外療養」についても、
医療機関や保険薬局が、その内容と費用を院内・薬局内、さらにウェブサイトに掲載する義務を設ける
とされています。
これは患者さんにとって非常に重要です。
知らないまま会計時に突然、
「この薬には別途料金がかかります」
と言われることを避けるためにも、事前に制度内容や費用を確認できるようにする狙いがあります。
今回の制度変更を4つにまとめると
今回示されている変更は、大きく4つあります。
処方箋に「一部保険外療養」欄を新設する
病院・クリニック・薬局で内容と費用を掲示する
市販薬との代替性が特に高い医療用医薬品を「一部保険外療養」として制度上位置付ける
対象薬の薬剤費の4分の1を別途負担とする
この中で患者さんへの影響が最も分かりやすいのは、やはり4番です。

なぜこんな制度が作られるの?
今回の資料から読み取れる大きな考え方は、
「市販薬で代替できる可能性が特に高い薬まで、どこまで公的医療保険で負担するのか」
という問題です。
日本の医療保険制度を維持していくためには、本当に必要な医療へ限られた財源をどう配分するかを考える必要があります。
一方で、患者さんからすると、「医師に必要だと言われて処方された薬なのに、なぜ保険外負担が発生するの?」という疑問も当然出てきます。
だからこそ今回の制度では、単純に保険から外すのではなく、
保険診療を維持しながら、一部だけを別途負担にする
という仕組みが採用されています。
「病院の薬=全部保険」という常識が変わる?
今回の制度は、単なる薬代の変更以上に大きな意味を持っています。
これまで患者さんにとって、
処方薬=保険診療
というイメージは非常に強いものでした。
ところが今後は、「病院から処方された薬でも、一部だけ保険外の負担が発生する」
ケースが出てきます。
つまり、
医療用医薬品の中でも、保険がどこまで適用されるかを意識する時代になる
ということです。
医療機関では患者さんへの説明が重要になります
クリニックや病院、薬局にとっては、制度を理解するだけでは十分ではありません。
今後は患者さんから、
「どうして前より薬代が高いの?」
「この薬はなぜ保険外なの?」
「市販薬を買った方がいいの?」
「別の薬に変更できないの?」
といった質問が増える可能性があります。
そのため医療機関には、
対象薬かどうか、なぜ追加負担が発生するのか、通常の保険負担と何が違うのか
をできるだけ分かりやすく説明することが求められそうです。
まとめ|薬価の「25%」だけを見ないことが大切
今回のOTC類似薬の一部保険外療養制度で、まず覚えておきたいのは、
対象となる薬剤費の4分の1が「別途の負担」になる
という点です。
ただし、「自己負担が25%になる」という意味ではありません。
薬価の25%相当が別途負担となり、残りの部分について通常の健康保険による自己負担が発生する仕組みです。
また、制度導入に合わせて、
処方箋への新しい記載欄の追加、医療機関・薬局での院内掲示、ウェブサイトへの掲載
なども行われる方向です。
患者さんにとっては「薬代がいくらになるのか」が最も気になるところですが、医療機関側にとっても、処方箋・会計・患者説明・ホームページ掲載など幅広い対応が必要になる制度です。
なお、今回の画像資料は、制度施行に向けた法令上の措置案を整理した内容です。実際の運用では、最終的な告示・通知や対象医薬品、算定方法などを確認する必要があります。

